なんで登れないの?どうして?と、登れないことが不思議ですらあった、江戸川橋のミント12b、本日ようやくRPできた。
これは嬉しかった。ジムルートで登れてこんなに嬉しかったのは、久しぶり。
その喜びには、ようやくこのルートから解放されたという、ほっとする気持ちも半分くらい混ざっている。苦労が多ければ喜びも大きい、ということか。
午後2時くらいから江戸川橋。昼間はリードエリアにはだれもおらず、Kハマさんと2人で貸し切り。今日は昨日より気温も低く、人が少ないと寒々としている。夕方からポツポツ人が降りてきて、夜にはそれなりに盛況になってよかった。大混雑は嫌だが、ガラガラというのも、それはそれで寂しいものである。
さて、アップの後、左1面ハング壁のミント12b。
もうムーブは完全にできている。あとはつながるか、つながらないか、登れるか、登れないか、というだけなので淡々とスタート、と言いたいところだが、実は結構緊張している。「また登れないかも…」という気持ちを押し殺し、無理矢理に「今回は絶対登れる」と思い込み、スタートホールドをつかむ。
中間部までは問題なし。ゴール下の核心部、デッドで出した左手がスローパーに止まった。ランジ発射。が、ぜんぜん距離が伸びない。それでも、スタートからランジ発射までつながったのは、今回がはじめて。最高到達点だ。惜しいと言えば惜しいが、登れないということには変わりない。
2便目、今度は左手スローパーが止まったものの保持しきれず、ランジ体勢になる前に落ち。うむー。やはり、ムーブが固まったあとは、その日のうちで一番余力があるはずの、1便目でRPしておきたかった。今日もだめかと、黄色信号が灯る。
3便目、中間部で、2便目には感じなかったかすかなヨレを、左腕に感じる。だが、スローパーは止まった。一度持ち直してから、ランジ発射。わずかに距離が足りず、ゴールにタッチしたものの、フォール。左手を持ち直したのだが、良い位置を持ちきれていなかったのが敗因だろう。
しかし、1便目よりもランジの距離が出ただけに、このフォールは非常に残念だった。そうこうするうちに、Kハマさんは、課題だった黒11abを見事にRP(おめでとう!)。また、他の常連の方たちも、それぞれの課題で、どんどんRPを出している。
こういうときの気持ちは、なんと表現すればいいのか? なぜ登れないのだ、という焦燥感、また落ちたらどうしようという憂鬱感、もう絶対登れないのでは、封印した方がいいのではという疑心暗鬼……。そういったネガティブな感情がどんどん湧いてくる。
とくにこのルートの場合、落ちる箇所がゴールなので、なおさら嫌になる。20手ほどあるルートの19手までは、ほぼ完璧に登っているのに、最後の1手ができないため、また1手目からやり直さなければならないのだ。これでは、シジフォスの神話ではないか。楽しみで登っているはずのクライミングなのに、苦役に思えてくる。
それに、限界トライで3便も出したので、腕もだいぶヨレた。もう今日はやめようかな、と思ったが、遅い時間に来たYギさんが、前回からミントのトライを始めたと言って、今日もトライを開始した。
それを見ていたら、トライ数が浅いためか、だいぶムーブに無駄があるように思えた(もちろん、得意なムーブは人によって違うが)。
Yギさんに、ムーブに無駄が多いんじゃない?と話しながら、「じゃあ、参考ムーブを見せてあげよう」くらいの気持ちで、4トライ目を開始した。そういう気持ちだから、登っている途中で、下で見ているYギさんに「ほら、ここでこれを持った方が楽だよ」などと解説をしながら登っていたくらいの、気負わないトライだった。
結果的には、この気負わないのが良かったのか、核心部、デッドで出した左手が一発でスローパーの良い位置を持てた。持ち直しの必要もなく、そのまま次のランジもしっかり飛べて、あんなに遠かったゴールを、あっけないくらい簡単に右手が掴んでいた。登れる時というのは、こういうものか。
嬉しくて、コンペ選手のように、ゴールを右手で握ったまま、左手でガッツポーズを繰り出し「やった!登れた!」と叫ぶ。この全身にあふれる喜び、幸せは、他では味わえない。登ってよかった!クライミングをしてよかった!と心の底から思える瞬間だ。
そして、降りてきたら、その場にいた全員から暖かい祝福。みんなありがとう!あきらめないでよかったよ。
・ミント12b、本日4便でRP。通算8日23便。
ジムでひとつのルートにこれだけの便数を出したのは、たぶん初めて。1回のトライで核心部のみ繰り返して練習しているときもあるので、核心部分は、倍くらいやっている。
昨日I崎氏も言っていたが、このルートは、個々のムーブがきつくて、手数が少ないという、顕著にボルダー的な課題。自分にとっては、苦手系である。
核心となるゴール取りは、ボルダーが強い人はスタティックに行けるようだが、弱い自分は左手デッド+右手ランジで解決。その左手デッドが、そこだけやればなんということないのに、つなげるとまったく止まらず、便数がかさんだ。
オンサイトのクライミングあるいは少ない便数でのRPを目指すのであれば、なるべくスタティックに動ける強さがほしい。
ちなみに、50氏の話によれば、このルートを2撃したツヨツヨボルダラーのY氏は、ピンク12bで苦労して、ピンクの方が難しいと言っていたらしい。自分はピンクの方がずっと易しく感じたし、50氏もそう言っていた。ボルダラーとリードクライマーの違いというのは、確かにあるようだ。
また、このルートのグレードは、12bでジャストだろう。もしかすると辛めの12b、かもしれないが、これは上述の通り、自分がボルダーチックなルートが苦手だからそう感じるのかも。
この壁のその他のルートについて、自分の体感グレードは、以下の通り。
・ピンク12b→12a
・黄色12a→11d
・緑11c→11bc(あるいは辛めの11b)
・赤11ab→10d/11a(あるいは辛めの10d)
・pink10d→10d
・青10c→10c
次はどうしようかな。
オレンジ、黒にトライしたい気もするが、錦糸町の黄色12bも気になる。江戸川橋の1面ハングも少し飽きたので、また錦糸町に行ってみようかな。
なお、シューズは今回リソールしたソリューション3号(Mi6改)。1ミリも足元に不安を感じさせない、いい仕事をしてくれた。