ひとり暮らしが長くなると、仕事の後で家に帰る理由がなくなる。
そこで会社に寝泊りする。
それが習慣になると、なぜ昔は毎日毎日わざわざ家に帰りまた朝になったら出社するなどという無駄なことをしていたのか、かえって不思議なくらいだ。
いっそ自宅のアパートは引き払って、会社に住民票を移そうかといつも思うのだが、それはそれで、二、三困った問題が生じる。それに、毎日家に帰るのは無駄であるが、たまに帰るのは別荘を訪れたようで新鮮な気持ちになる。だから、アパートの方も、一応残してある。
先日は会社に、ふとんの下に敷く桐のすのこを買った。2000円くらいの安物だが、すこぶる具合がいい。床に直接ふとんを敷くより格段に柔らかく、暖かい。もちろん布団に湿気がこもるのを防ぐ効果もある。布で繋がっているものなので、不使用時は丸めて立てかけておけばいい。会社に住んでいるすべての人に、おすすめできる逸品だ。